現在、日本の法人で当社が製造した健康食品をAmazon USと楽天に出店して国内販売と越境ECを行っています。健康食品は日本製造の商品と中国製造の商品の両方を取り扱っています。今回US向けの越境EC事業をシンガポール拠点に変更することを検討しており、注意点などのアドバイスを頂ければ助かります。
お問合せありがとうございます。最近越境ECの勝ち組がシンガポール拠点を検討する相談は多いですね。まず注意しておきたいのは単純にシンガポールに何も現場がない「無人」法人を設立して日本の利益を移すだけの仕組みは検討しない事です。10年くらい前に流行った仕組みですが、日本のタックスヘブン税制だけではなく、シンガポール現地での「無人」法人(=Shellカンパニーと言います)に対する規制が厳しくなっています。そのため、まず検討するべき点は、現在日本で全てを完結している事業のうち、どの業務をシンガポールに移行するかという点です。御社の事業として日本向けとUS向けの売上があるため、御社内の海外事業(US向け)業務をシンガポールに切り離せるか?という点が重要です。また、仕入の点については中国製造部分の貿易業務などは言語の適正などもあり、シンガポール法人で担当することは自然な流れになります。この「業務現場」をシンガポールに移転するということができなければ、税務リスクだけを背負いこむ結果となるため、その先の検討はするべきではないです。これをクリアした後に検討するべき点と注意点は以下3つからスタートしましょう。当社でもシンガポールでショップ経営をしながら、Amazon USアカウントを持ちAmazon出店なども行っているため、シンガポール法人での出店は全く問題なく可能です。
①海外ECプラットフォームとの契約: 現在はAmazon US以外にも多くのECプラットフォームが存在し、シンガポール法人での契約が可能です。そのため、それらのプラットフォームへ「既存アカウントの移行ができるか?」という確認をいれる必要があります。プラットフォームにより、法人や国籍が変わるため「新規アカウント」を作成してほしいと言われ、それに従って手続きを行った結果、それまでに御社がプラットフォーム内で積み上げたSEOやReview、フォローワーの引き続きができないという事態になり、継続売上が見込めなくなってしまうということも想定されるので、よく確認しながら進めましょう。
②移転価格税制とグループ間取引の仕切り価格について: これまでは日本法人で全て完結していた取引が、中国製造商品をシンガポールで仕入れ、そこからUS向けは直接販売、日本向けは日本法人へ卸売をしてから日本国内で販売という流れになると思います。ここでシンガポールと日本との間で発生する「グループ間」取引の価格は日本国内で他社への卸売実績がある場合、その価格と合わせる必要があります。グループ内で価格コントロールできるからと言って、シンガポールに利益を寄せるような価格決定はNGです。これは日本製造商品を一旦シンガポールで仕入れ、US向けに販売する際も同様です。
③日本法人の株主か?シンガポール法人の株主か?: これは必ずといっていいほど質問がくる内容です。多くの方が、まずは日本法人の株主(個人1名の場合は行いやすいですが)と同じ株主でシンガポール法人をたてるケースが見られます。兄弟会社ということですね。シンガポール法人設立時に日本法人のオーナー兼代表がシンガポール移住されるケースでは特にこのケースが多いです。そもそも日本の国内市場の伸びに限界を感じて、海外市場に成長を求めることが海外に拠点を設立する目的が多いため、オーナー自らが陣頭指揮をとるという場合、海外で伸びた売上に対する個人としての利益還元を海外で得たいと考える方は多いです。利益の配当を日本法人を経由してからということではなくシンガポール国内法人からシンガポール居住者へ還元する、という理由で、このやり方で設立される方は多いです。但し、それまでに日本国内法人で得た利益についてはオーナー個人として、しっかり出国時に出国税を納税して移住することもあわせて重要です。未上場企業の株式であったとしてもしっかり評価後、納税手続きをとりましょう。(西田)