4/11/2023 

★特集第2回目パート3: 新しい法人の銀行口座開設は難しくなっている!?
2-3. うちでやってる攻略方法
こんにちは。ナビゲーターふみえです。
それでは引き続き、「非居住者」が保有&経営するシンガポール法人の口座開設はどうすればよいのか? について推奨例を見ていきましょう。
2023年2月に実施した当社調査をもとに判断すると、やはり銀行取引の重要性と銀行側もビジネスとして「うま味」のある取引先を優先に対応することが理解できます。その上での、新設シンガポール法人の銀行取引をステップにわけていくと以下の流れが理想的と考えられます。何れにしても急がば回れではないですが、「王道」をいくのが基本です。以下はあくまで株主やシンガポールで実務執行する役員が「非居住者」であることが前提条件です。

STEP1: シンガポール法人 【新設時】
新設企業としては、銀行取引等がない状態からのスタートになるため、ネット系銀行や「Tier2」銀行(MaybankやCIMBなど)の口座開設をおススメします。「Tier2」銀行の世界的な位置づけを日本の銀行比較で解説しましょう。
金融機関としての銀行の安全性を図る基準の一つに「優良資産の残高」で測る手段があり、「The Banker」誌に発表された2022年度の世界ランキング(1,000位)を見ますと、
【日本の銀行】MUFG (12位)、SMBC(21位)、Mizuho(35位)にランクインしており、野村(証券グループ)(80位)、りそな銀行(100位)、信金中金(149位)と続きます。
【シンガポールの銀行】DBS銀行(59位)、UOB銀行(74位)、OCBC銀行(76位)
【Tier2:マレーシア系の銀行】Maybank(115位)、CIMB銀行(159位)、RHB銀行(263位)と続きます。
そのため、世界的に見た「Tier2」銀行は日本でいうりそな銀行~優良第1地方銀行の間に属すると言えるでしょう。まずは、スモールビジネスへの理解度の高い銀行からスタートし、そこで売上、支払いの取引実績を作りながら、次のステップへ進むことが王道と言えるでしょう。事業上はシンガポール金融庁のライセンスを持ち、国内送金、海外送金、オンラインバンキングサービス等は兼ね備えているため事業的な支障はないでしょう。
<参考>Top 1000 World Banks 2022
https://www.thebanker.com/Top-1000-World-Banks/Top-1000-World-Banks-2022

STEP2: シンガポール法人 【2期目の決算を終えてから】
STEP1で「Tier2」銀行口座開設後はシンガポール法人で、入出金・為替交換等の実績を作り、最低2年間の取引を終えた後、状況に応じてシンガポールの「Tier1」銀行の銀行口座を申請しましょう。既に決算書もあり、法人税の申告及び納税などの実績もできている状況のため「非居住者」シンガポール法人とはいえ実態のある事業の銀行口座申込みを断るのはなかなか至難です。
また、海外送金の多いシンガポール法人については、CitibankやStandard Chartered Bank のような外資系銀行も視野にいれるとよいでしょう。送金手数料や為替レートの優位性はシンガポールの「Tier1」銀行より優れています。これらの外資系銀行は、シンガポール国内に自社事務所を持ち従業員の雇用なども行っていれば、申込みをすることは可能です。

また、冒頭に申し上げた銀行にとり「うま味」となるサービスとして「為替取引」と「法人向けローン」があります。これは世界的に同じだと思います。黒字決算の場合は、法人向けローンの取引なども併せて行うと取引履歴もグッとプラスになり銀行側の見方も変わってくるでしょう。「Tier2」銀行の法人口座開設の担当者とミーティングをしていたところ、「今期のノルマはS$40Millionのローンで四苦八苦してます」と話していたくらいなので。

【番外編】銀行口座開設時によくある質問
Q:銀行提出用に事業計画は必要ですか?
A:最近はよく求められるため、必要です。
シンガポール新設法人の事業計画書は「必須書類」ではないですが、最近よく求められます。
そのため、銀行口座開設を準備する段階で用意しておく書類として
1) 会社概要(+シンガポールで展開する事業内容)
2) 事業計画(立ち上がり2年間)
は英語で準備をしておくとよいでしょう。これらは銀行提出用だけでなく、今後シンガポール法人でかかってくるコスト面を把握し、資本金を決定する材料としても有効です。当社でクライアント法人のために上記2点を作成することはよくありますが、作成している時のポイントをそれぞれ解説していきます。銀行員は以下を参考にして行内稟議書をあげていくため、より多くの「安心材料」を書いておくことが重要です。
1) 会社概要(+シンガポールで展開する事業内容)
・日本での売上規模、取引銀行(期間含め)、主力の事業内容及び取引先(シンガポールにある海外取引先があると尚ベター)、従業員数は必須です。
・日本の事業はライセンス等が必要なサービスであれば、ライセンス内容(認定機関)と保持期間
・シンガポールでの売上対象企業(候補先であってもシンガポール企業の名称が入っていると更によいです)
・シンガポールで同様事業を展開する類似企業(これは銀行員が事業内容を理解する上で重要です)
2) 事業計画書
・売上構造の説明ができるように。物販やリテール業であれば売上原価想定、法人向けサービスであれば1社あたりの平均単価想定、YouTube事業であれば配信対象国や広告収入(過去の推移含め)など、毎月の売上入金回数が何回+金額を最終的に提示できるようにしておくこと。
・また、売上通貨については想定で構わないため、日本円売上、USドル売上、Sドル売上など分けておくと、銀行側も為替取引ニーズを把握できるためベストでしょう。
・販管費はシンガポール従業員の採用計画(何人くらい雇っていくのか)から算出される人件費、家賃(自社オフィスを構える予定はあるのか)、外注先候補社名や社数に関しては、いくらくらいをどの通貨で送るのかを表現できるとよいでしょう。

決算書ほどの細かさは必要ありませんが、上記のポイントを表現した「簡易版」事業計画を作成しておくことはおススメします。当社で使用している事業計画書のサンプルを下記に載せておくので、細かさのレベル感を確認する参考になればと思います。

以上で、【特集第2回目: 新しい法人の銀行口座開設は難しくなってる?】
は完結となります。みなさん、質問等がありましたら遠慮なくチャットで聞いてくださいね。

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