Vol.065 — 【実録】AIネイティブ 日本版(DAY2)気づけば、お客様のほうが先を走っていた
掲載日: 2026-08-17 | ニュースレター
概要
Vol.065は、「AIネイティブ 日本版」の第2回(DAY2)である。DAY1で、人間の制作会社なら「30ページの指示書と約2週間」を要した文字修正が約2分で終わり、言葉を失った化粧品メーカーの社長とスタッフ——その続きだ。研修室に入った西田は、いきなり驚かされる。お一人が数日のあいだにAIウェブ担当者と何度もやり取りし、初めての自作サイトを組み上げていたのだ。ChatGPTの作業モードに専用プロジェクトを作り、そこにAIウェブ担当者を住まわせ、遊ぶように試していた。予定より、ずっと先を走っている。そこで西田は当初の「サイトの健康診断」に入る前に、AIウェブ担当者そのものを一段引き上げた。ページ更新や画像管理に加え、SEO、セキュリティ確認、顧客メールの下書き、契約・更新日の管理まで——ただし「何をするにもまず下書きを見せ、公開前に必ず確認する」という約束だけは変えない。つまずきも正直に書く。パソコンをWindowsからMacに替えたばかりで、「書類フォルダはどこ?」から始まった。AIネイティブのつまずきは、たいていAIそのものではなく、その周りのふつうの道具にある。そして終盤、お一人が「指示書のとおりに動いていない気がします」と指摘し、調べるとそのとおりだった——指示ファイルが大きすぎてChatGPT側の容量上限に入らず、しかもファイル名がChatGPTが「自分のルールだ」と認識する決まった名前になっていなかった。ただ言葉で「この文書をあなたのルールにして」と頼むだけでは、伝わらない。今日いちばんの学びはここだ。指示を渡したら渡しっぱなしにせず、「ちゃんと読めた?」「この通りに動ける?」と本人(AI)に確認させる”入社初日の点検”を、必ず手順に入れる。地味だが効く変更も入れた。書類のやり取りがメール中心だったのを共有ドライブでつなぎ、お二人とAIウェブ担当者の三者が同じ一つの棚を見られるようにした。本題の健康診断では、会社サイトとネットショップの二つをSEOとセキュリティの両面から洗い出す。セキュリティの指摘は少なく、問題はネットショップだった——商品説明が途中までしか埋まっておらず、検索に必要な情報や画像も抜けている。だがこれは悪い報せではない。どうすれば見つけてもらえるか、そしてAIウェブ担当者がその欠落をどこまで直せるかが、具体的に見えたからだ。折しも新ブランドの立ち上げを計画中で、「ゼロから作れるなら」と話は一気に前向きになる。誰に届けたいか、どんな言葉で探されたいか、競合は同じ言葉でどう見せているか、どのネットショップに出すか——AIウェブ担当者がいれば、出店数に上限はない。一つの運用で、いくつものショップを同時に育てられる。仕上げにはSEOだけでなくAEO(AIに答えてもらうための工夫)も両サイトに織り込んでいく。一日の終わりにお二人の手元に残ったのは、初めての自作サイトと、三者で共有できる一つの作業場と、「どこを直せば、もっと見つけてもらえるか」という視点だった。守りから、攻めへ。今日伝えたいこともシンプルだ——AIに任せるときは、任せっぱなしにしない。指示を渡したら「ちゃんと読めた?」と確認する。そして、いちばんの使い手はやはり現場のご本人である。今日は、教えるより先に、お客様のほうが先を走っていた。それがこの連載でいちばん伝えたいことの、何よりの証拠だ。次回DAY3は、市販のAIを「うちのやり方をわかってくれるAI」へ育てる回——記憶、言葉づかい、仕事の進め方の約束事。シンプルにAIを。 いつもの仕事を、いつもの言葉で。
